2025.03.03

緑茶にもカフェインが?緑茶の成分カフェインとカテキンを知ろう

お茶は日本人の暮らしの中の身近な飲み物で、お茶を飲む時間は忙しい毎日のなかでほっと心を落ち着かせてくれます。しかし、普段はお茶の成分についてじっくり考える機会はないでしょう。今回はお茶に含まれるカテキンとカフェインという2つの成分にフォーカスし、近年明らかになったカテキンとカフェインの健康に与える作用や、体によいとされる摂取方法について解説します

お茶の渋みのもとはポリフェノール!?
緑茶に含まれるカテキンの正体

緑茶カフェイン

お茶に含まれる成分というと、多くの人がまずカテキンを思い浮かべるでしょう。カテキンはお茶の渋みのもととなり、数千種類あるといわれるポリフェノールのなかでもフラボノイド系に分類される成分です。

カテキンにもいくつか種類があり、緑茶に含まれる主なカテキンはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4つです。ちなみにこのうち3つが日本の化学者によって発見されました。※1

日本人は古くからお茶を飲んできましたが、カテキンの化学的な研究が始まったのは20世紀になってからです。研究が進むにつれ、カテキンのさまざまな作用が明らかになってきました。

カテキンには抗酸化作用や血糖の上昇を抑える作用、体脂肪の減少を助ける作用などがあるとされ、カテキンを多く含むお茶の中には「特定保健用食品(トクホ)」として認められているものもあります。さらに、カテキンにはアルツハイマー型認知症の原因とみられるアミロイドβを抑制する働きもあるのではないかと期待されています。※2

お茶は医薬品ではありませんが、食後やふとしたときに飲んできたなじみ深い緑茶のカテキンが、知らず知らずのうちに健康的な生活をサポートしてくれていたのかもしれません。

緑茶カフェインの働きとは
コーヒーだけでなくお茶も眠気覚ましにいい?

緑茶カフェイン

お茶の含有成分としてもうひとつ注目したいのが、コーヒーにも含まれるカフェインです。カフェインはチョコレートの原料であるカカオ豆などにも含まれるアルカロイドの一種で、神経をしずめるアデノシンの働きを阻害し、神経を興奮させる作用があります。眠気覚ましにコーヒーを飲む人が多いのも理にかなっているのです。お茶にもコーヒーの3分の1程度のカフェインが含まれているので、頭をすっきりさせたいときにはお茶を飲むのもよさそうです。※3

新潟大学が中高年者を対象として行った研究では、コーヒーの摂取量が多い人ほど認知症の発生率が低くなる傾向があり、1日3杯以上コーヒーを飲むグループは飲まないグループのおよそ半分の発生率でした。これにはカフェインが関与している可能性が考えられ、緑茶についてもコーヒーと類似した傾向がみられたといいます。※2

もっともこのメカニズムは十分に解明されておらず、「親しい人とお茶やコーヒーを楽しむ時間を持つことこそが、心身の健康によい影響を与えているのではないか」といった考え方もできるかもしれません。

摂り過ぎ注意!
緑茶カテキン・カフェイン入り飲み物の注意ポイント

カテキンやカフェインには健康にプラスになる作用が期待できるからといって、お茶やコーヒーをたくさん飲むほど体によいというわけではありません。特にカフェインは摂り過ぎるとめまいやイライラ、不眠、脱水などを引き起こすことが知られています。

厚生労働省のホームページには、「カフェイン摂取は健康な成人で最大400mg/日」とのカナダ保健省の見解が紹介されています。緑茶の場合、1日あたり湯呑茶碗10〜13杯程度、コーヒーならマグカップ約3杯が限度ということになります。眠気覚ましにお茶やコーヒーを飲む習慣のある人は、くれぐれも飲み過ぎには気をつけてください。※4

妊婦や子どもなど、カフェイン摂取をさらに控えるべきケースもあります。英国食品基準庁では妊婦のカフェイン摂取限度を一般成人の半分にあたる200mg/日としていますから、コーヒーはもちろんお茶についても注意が必要でしょう。また子どもはカフェインの影響を受けやすいため、ごく少量にとどめておいたほうがよさそうです。さらに、カフェインには利尿作用があるため、水分補給として飲むならお茶よりも白湯や水のほうがおすすめです。※4

カテキンについては今のところ上限量は確定されていません。しかし、欧州ではカテキンの多量摂取に関する安全性評価の研究が進められ、一定量以上摂取すると肝機能への影響が懸念されるとの見解もあります。やはり、ほどほどにしておいたほうがよいといえるでしょう。※5

種類やいれ方でも違いが出る?
おすすめのお茶の飲み方・選び方

緑茶カフェイン

ご存じのとおり、お茶は実にバリエーションが豊富です。それでは、成分という観点から考えた場合、日常生活においてお茶をどのように飲めばよいのでしょうか。

カテキンを多く含むのは玉露や煎茶で、熱いお湯でいれ、蒸し時間を長くとるほど多く抽出されます。カフェインも番茶や玄米茶、ほうじ茶よりも玉露や煎茶に多く含まれます。また、お茶をいれた後の茶殻にはカテキンが多く残っています。※6

こう考えると、すっきり目を覚ましたい朝や仕事、家事の合間には玉露や煎茶を飲み、茶殻は料理に活用して、夜はカフェイン控えめの番茶や玄米茶、ほうじ茶を飲むというのがよさそうです。それぞれの好みや生活リズムに合わせて上手に取り入れてられるとよいですね。

お茶を飲む習慣は私たち日本人の生活に深く根付いています。日々の暮らしの中でお茶を楽しむなら、少しでも体にプラスになる飲み方を工夫してみるとよいかもしれません。

☆お茶にまつわる話はこちらでも紹介しています。
朝活は「朝茶」でリラックス 副交感神経がもたらす健康生活
カテキンと緑茶の最新事情。30代からの健康を考えた緑茶習慣
熟成と発酵の違い お茶は発酵食品?ポリフェノールとお茶の関係とは

【参考文献】
※1 日本カテキン学会
https://www.catechin-society.com/iroha.html
※2 新潟大学
https://www.med.niigata-u.ac.jp/contents/info/news_topics/202_index.html
※3 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
※4 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
※5 EU委員会
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32022R2340&from=EN
※6全国茶生産団体連合会・全国茶主産府県農協連連絡協議会
https://www.zennoh.or.jp/bu/nousan/tea/katsuyou01a.htm

  • 澤 晶子

  • ライタープロフィール
    澤 晶子(サワ アキコ)
    WEB編集者・ライター
    長年、学習塾・家庭教師勤務。フレンチ・イタリアンレストランでの勤務経験も豊富。趣味は食べ歩きと料理。季節のグルメのお取り寄せにも目がなく、特に地方限定銘菓が大好きです。