2024.09.02

「中秋の名月」十五夜はいつ?お月見の楽しみ方と月見団子のレシピ

秋になると、澄んだ夜空に浮かぶ月がひときわ美しく見えます。十五夜に昇る月は「中秋の名月」とも呼ばれ、ススキを飾り、月見団子をお供えする風習が現代にも受け継がれています。十五夜に中秋の名月を愛でながら、秋の訪れを感じてみませんか。「中秋の名月」の由来や日本ならではの「十三夜」の風習、そしてお月見には欠かせない月見団子のレシピも紹介します。

秋の伝統行事「十五夜」と「中秋の名月」の由来

9月に入ると「今年の十五夜はいつだろう?」と思う人も多いのではないでしょうか。十五夜の日にちは旧暦に基づくため、毎年日付が変わり、2024年の十五夜は9月17日(火)ですが、2025年は10月6日(月)、2026年は9月25日(金)と幅があります。※1

そもそも「十五夜」とは、旧暦における毎月15日の夜を指します。
旧暦では7〜9月が秋とされており、秋の真ん中にあたる8月15日は「中秋」と呼ばれていました。この日に昇る月は、一年でもっとも美しく見えることから「中秋の名月」と呼ばれるようになったとされています。
本来なら十五夜は毎月訪れるものですが、今では「十五夜といえば中秋の名月」という意味で使われることが多くなっています。

なんとなく「十五夜(中秋の名月)は満月」というイメージがありますが、月の満ち欠けの複雑な変動から必ずしも満月になるとはかぎりません。2024年は9月17日(火)の夜が十五夜ですが、満月になるのは翌日の9月18日(水)です。※1

十五夜(中秋の名月)にお月見をする風習はいつから始まったのでしょうか。中国では、秋の中心を祝う「中秋節」という行事が古くから行われていました。その中秋節が平安時代に日本へ伝わり、十五夜にお月見をする風習として定着したといわれています。

今でも十五夜には月見団子やススキを飾り、月を愛でる習慣が残っています。丸い月見団子を満月、ススキを稲の穂に見立て、中秋の名月に秋の実りを感謝したことが日本の十五夜の由来という説もあります。かつては里芋や栗など、秋の収穫物をお月見のお供え物にしていたそうです。十五夜は、日本人にとって大切な「農耕」と深く関わる年中行事といえるでしょう。※1※2

栗や豆の収穫を祝う日本発祥の風習「十三夜」とは

中秋の名月

ほかにも、十五夜とよく似た名前の「十三夜」という風習があることをご存知でしょうか?十三夜とは、旧暦の9月13日の夜に行われるお月見を指す言葉です。前述のとおり、十五夜は中国から伝わってきたとされていますが、十三夜は日本発祥の行事と考えられています。十三夜にお月見をする理由は「十三夜の空に昇る月は十五夜に次いで美しい」とされていたためです。※2

十五夜には里芋をお供えすることから「芋名月」という別名がありますが、十三夜は栗や豆の収穫祝いも兼ねて「栗名月」「豆名月」とも呼ばれています。
2024年の十三夜は10月15日です。下記に2028年までの「十五夜」と「十三夜」の日付をご紹介します。これからは十五夜だけでなく、十三夜にも団子やススキ、栗、豆を飾り、お月見をしてみてはいかがでしょうか。

・2028年までの「十五夜」と「十三夜」※3

十五夜 十三夜
2024年 9月17日(火) 10月15日(火)
2025年 10月6日(月) 11月2日(日)
2026年 9月25日(金) 10月23日(金)
2027年 9月15日(水) 10月12日(火)
2028年 10月3日(火) 10月30日(月)

月見団子は地域によって形が違う?

中秋の名月

十五夜に欠かせない食べ物といえば、月見団子です。月見団子は満月のような丸い形が一般的ですが、地域によって形が異なります。
関西ではしずくのような形をした団子の上に、小豆あんを被せて作られることが少なくありません。これは十五夜の別名「芋名月」にちなみ、里芋の形に見立てているといわれています。

同じしずく型の月見団子は、愛知県でも見られます。愛知県の月見団子は小豆あんを被せず、シンプルに団子のみ。こちらも里芋を模しているとされています。静岡県の月見団子は、団子を丸めてから平たくつぶし、中央をくぼませるのが特徴です。おへそのような見た目をしているため「へそもち」「へそ団子」とも呼ばれています。沖縄県では、楕円形の餅の表面にゆでた小豆をまぶした「ふちゃぎ」が、十五夜のお供え物に用いられています。※4※5

月見団子をお供えするときは、丸い団子をピラミッドのように積み上げますよね。実はこの形状にも理由があり、秋の実りへの感謝を月に届けるために、団子を天に向けて積み上げるとされています。また、昔の人々はお供えした団子を食べることで、健康や幸福が得られると考えていました。十五夜にお供えする団子には、単なるお月見飾り以上の意味があるのですね。

こねてゆでるだけ!月見団子のレシピをご紹介

中秋の名月

月見団子は意外と簡単に手作りできます。今回は、団子粉から作る月見団子のレシピをご紹介します。

●月見団子
【材料(15個分)】
・団子粉:100g
・砂糖:10g
・水:80ml

【作り方】
1.ボウルに団子粉と砂糖を入れて、水を少しずつ加えながらヘラで軽く混ぜ合わせる。
2.水をすべて加えたら、手でよくこねる。耳たぶ程度の固さになったら、15等分して丸める。
生地が固すぎるようであれば、適宜水を足す。
3.鍋にたっぷり湯を沸かし、2を入れる。団子が浮いてきたら弱火にし、3分ほど茹でる。
4.茹で上がったら冷水にとる。冷めたら水気を切り、器に盛り付ける。

素朴な味わいの団子なので、みたらしだれやきな粉、小豆あんをトッピングするとよりおいしく食べられます。

団子粉はもち米とうるち米から作られているため、適度な弾力がありながら歯切れがよい団子になりますが、団子粉の代わりに白玉粉を使用するのもおすすめです。白玉粉はもち米のみで作られているおり、口当たりがなめらかなのでもちもちとした団子になります。

月見団子ができあがったら、きれいに並べて飾りましょう。本来は「三方(さんぽう)」という木製の台の上にのせますが、家庭では皿やお盆でかまいません。半紙や天ぷらの敷紙やクッキングシートなど白い紙を敷いた器か、半紙などの紙がなければお皿に直接、団子を積み重ねましょう。
基本は十五夜にちなみ15個の団子を用意して、1段目に9個、2段目に4個、3段目に2個を積んでいきます。団子の数を少なくして5個にしたり、1年の満月の数に合わせて12個(閏年は13個)で積み重ねたりする場合もあります。また、十三夜には13個の月見団子を飾ります。

俳句で「月見」は秋の季語とされているように十五夜は、秋を代表する風習といえます。
月見団子やススキを飾り、中秋の名月を見上げると、秋の到来を感じます。今年の十五夜は手作りの月見団子をお供えして、美しい中秋の名月に健康や幸福を祈願してはいかがでしょうか。

☆和菓子の種類や「お茶請け」の基本についてはこちらでご紹介しています。あわせてご覧ください。
お茶請けとは?ピッタリな和菓子の種類は?知っておきたい「お茶請け」の基本

【参考文献】
※1 国立天文台
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C3E6BDA9A4CECCBEB7EEA4C8A4CF.html
※2 宮内庁
https://www.kunaicho.go.jp/event/kyotogosho/kangetsukai-houkoku.html
※3 川口市立科学館
http://www.kawaguchi.science.museum/astro/live/otsukimi2023.html
※4 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/36_27_shizuoka.html
※5 独立行政法人 農畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002598.html

  • いしもとめぐみ

  • ライタープロフィール
    いしもとめぐみ
    管理栄養士。一般企業勤務を経て、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験。現在は、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。日本ワインとおいしいものが大好き。