2024.05.07

外国人観光客に人気のジャパンディとは お茶の間と居間は何が違う?

外国人観光客を含め多くの人から注目されている「ジャパンディ」とは、日本と北欧のテイストをミックスさせたインテリアスタイルです。価値観が多様化する今、多くの人を惹きつけるジャパンディの魅力について解説します。

海外から注目を集めるジャパンディとは
お茶の間×ヒュッゲ? 

古き良き時代を表す言葉のひとつに「お茶の間」があります。「居間」は家族が普段いる部屋を指すのに対し、「お茶の間」は居間やダイニング、ときには客間や寝室にもなるフレキシブルさを持つスペースを指します。

「お茶の間」の由来は諸説あるものの、「お茶の間」と「居間」の大きな違いは、「お茶の間」は「家族団らん」を象徴とした言葉であるという点でしょう。
「お茶の間」と聞くと、テーブルを囲みリラックスしながら談笑する家族の姿が浮かんできます。メディアを通してよく耳にする「お茶の間に届ける」「お茶の間の皆さん」という表現からも居間とは違った意味で使われているのがわかります。

一方、北欧には「ヒュッゲ(Hygge)」という文化があります。北欧の国のひとつ、デンマークの言葉で「居心地が良い空間」や「幸せな時間」という意味を持ち、夜の長い北欧では大切な人とのおうちでの過ごし方や心の持ち方を表すそうです。※1

日本の伝統様式である和室の作りからみてとれる、四季の移ろいを感じつつ最小限のものでシンプルに暮らす和の文化。家族や友人と過ごす時間を大切にする北欧文化。この2つの文化のよさを取り入れたのが「ジャパンディ(Japanese×Scandinavian)」という、近年人気のインテリアスタイルです。

ジャパンディの最大の特長はシンプル&ミニマム

ジャパンディ

ジャパンディインテリアの特長は「シンプルかつミニマム」です。「侘び寂び」の美意識や禅の考え方が背景にある日本では、モノを大切にし、身の回りをシンプルに整える“余白のある暮らし”を好む傾向があります。そして、北欧文化もシンプルで機能的なインテリアが特長です。

ジャパンディのインテリアは基本的にモノは多くありません。きらびやかな装飾品より、花瓶や照明など、生活用品で魅せる部屋作りが基本。家具も華美なものではなく、長く使うことを前提に、時代に左右されない機能的なものを選びます。また、ソファもテーブルも低めにすることで、余白を感じられる空間を作ります。

ミニマムなモノ選びに合わせ、色使いもオフホワイトやグレイなど、ニュートラルなペールトーンが中心。そこに和を感じさせるインテリアや差し色を組み合わせることで、ちょうどよい「日本×北欧」のバランスが仕上がります。

こうしたジャパンディの考え方は、近年注目のSDGsとも通じるところがあります。たとえばSDGsゴール12「つくる責任 つかう責任」では、ゴミを減らし、ムダのない消費活動を目指しています。時代に左右されない、ずっと大切に使えるモノ選びが基本のジャパンディは、持続可能な社会実現に貢献するインテリアだといえるかもしれません。※2

ジャパンディに欠かせない自然の要素とは 

ジャパンディ

ジャパンディのもうひとつの特長が、自然の素材をたっぷり取り入れることです。日本は金属や石よりも、森林資源が身近な国です。木や紙、その他の植物でできた素材は高温多湿な日本の気候とも相性が良く、家具や建具、敷物、小物など、身の回りのあらゆるものに使われてきました。もちろん、北欧も森林資源が豊かな国です。

ジャパンディインテリアの部屋に置く家具類は、職人技を感じられるラインの美しい木製品が多く見られます。カーテンやラグなどのファブリックも、化繊ではなくコットンやリネンでできたものを、小物類もプラスチックやステンレスではなく素朴さを感じられる木や和紙、竹、土でできたものを取り入れます。これによって、シンプルながらも自然を感じられる、ぬくもりのあるインテリアが出来上がります。

日当たりの良い窓辺に観葉植物を置くことで、さらに居心地の良い空間を作ることができます。植物の緑はジャパンディのニュートラルな色使いを邪魔せず、むしろ視線を集める見せ場、「フォーカルポイント」を作ってくれます。

居間や寝室をもっと快適に!ジャパンディの取り入れ方 

ジャパンディ

上品なのにぬくもりがあり、居心地の良いジャパンディ。上手に暮らしに取り入れてみたいですよね。そのためにはまずモノの数、少なくとも見える場所に出してあるモノを減らすことから始めてみましょう。日本でも「シンプルライフ」「ミニマリズム」という言葉が流行っていますが、この機会に自分の持ち物を見直すことにチャレンジするのも良いかもしれませんね。自分でも驚くほど「本当に必要なモノ」はそれほど多くないことに気づくかもしれません。

モノの数を減らしたら、次は紙や木でできた照明や小物を取り入れます。コットンやリネンのベッドカバー類や和紙の間接照明は取り入れやすいアイテムです。色使いはグレイッシュなペールトーン、明るさを抑えたパステルカラーがおすすめですが、ポイントになる小物には「茄子紺」「利休鼠」など、日本の伝統色を取り入れるのもおしゃれ。全体に「北欧:和」の割合を「7:3」程度に整えれば、和室に慣れた日本人にとっても居心地の良い、落ち着くジャパンディに近づくのではないでしょうか。

「おうち時間」のあり方が見直される昨今だからこそ、安心感や居心地の良さを求めて、自然を感じられる穏やかなジャパンディに多くの人が魅了されるのかもしれません。


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【参考文献】
※1 東洋経済
https://toyokeizai.net/articles/-/152780
※2 日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/#


  • 澤 晶子

  • ライタープロフィール
    澤 晶子(サワ アキコ)
    WEB編集者・ライター
    長年、学習塾・家庭教師勤務。フレンチ・イタリアンレストランでの勤務経験も豊富。趣味は食べ歩きと料理。季節のグルメのお取り寄せにも目がなく、特に地方限定銘菓が大好きです。