2024.06.03

朝活は「朝茶」でリラックス 副交感神経がもたらす健康生活

朝の時間を活用して、日々の充実感を高める「朝活」。朝の飲み物に何を選ぶかでも、1日の満足度は変わってくるでしょう。なかでも朝に飲むお茶は「朝茶」と呼ばれ、先人たちが大切にしてきた習慣でもあります。今回は朝茶に関することわざや、朝茶に期待できる健康効果について紹介します。

朝に飲むお茶は縁起物
日本の文化「朝茶」にまつわることわざを紹介

朝茶に関することわざには、以下のようなものがあります。※1

「朝茶に別れるな」
朝茶はその日1日、災いから身を守ってくれるので忘れることなく飲め

「朝茶は福が増す」「朝茶はその日の難逃れ」
朝茶を飲むと災難が退けられて、運気が高まる

「朝茶は七里帰っても飲め」
朝茶は体に良いから、飲むのを忘れたらたとえ七里の道を帰ってでも必ず飲むべき

このように「朝茶」は数々のことわざに登場しており、古くから朝にお茶を飲む習慣があったことがわかります。先人たちは朝茶を「災い除けの縁起物」と考えていたようで、災難から免れ、平穏無事に1日を過ごすために朝茶を重要視していたことがことわざから伝わってきます。

昔の人は、体感的に朝茶のメリットに気付いていたのでしょう。実際に、お茶には心や体に対してさまざまな効果があることがわかっています。

お茶に含まれるテアニンの効果で副交感神経を優位に

朝活

お茶を飲むとほっと心が落ち着くのは「テアニン(L-テアニン)」の効果によるものです。テアニンとは、お茶のうま味成分として知られているアミノ酸の一種。お茶を飲んでテアニンを摂取すると脳にα波が現れます。α波が出現するのはリラックス状態になったとき。テアニンには気持ちをほぐしたり、不安を和らげる効果があるのがわかります。※2

リラックスして心が落ち着くと、副交感神経が優位になります。副交感神経は交感神経と対になって働き、体の状態を調整します。副交感神経が強く作用すると体は休息モードに切り替わり、反対に交感神経が活性化されると、体は緊張モードに入るのです。

日々たくさんのストレスにさらされる現代社会では、交感神経が優位になりがち。テアニンにはストレス軽減効果もあるとされています。

また、お茶にはコーヒーの成分としても知られる「カフェイン」も含まれています。コーヒーを飲むと眠気が抑えられるのはカフェインの覚醒作用によるものですが、お茶はコーヒーほど目が冴えることはあまりありません。

それはお茶に含まれるテアニンの影響でカフェインの覚醒作用が抑制されるからです。そのため、カフェインがやさしく働き、朝の眠気を緩やかに取ってくれるのです。※3※4

とはいえ、カフェインは過剰摂取すると不眠やめまいなどの症状が現れます。カフェインの取り過ぎを防ぐためには、お茶1杯を150mlとした場合、1日10杯以内を目安にするとよいとされています。※5

老化や動脈硬化を防ぎ、抗ウイルス作用もあるカテキンの力

朝活

お茶の苦みや渋みのもとである「カテキン」は、ポリフェノールの一種です。ポリフェノールとはワインやブルーベリー、チョコレートなどにも含まれている植物由来の成分で、抗酸化作用があり、活性酸素から体を守ることでも知られています。

活性酸素は体内に侵入した細菌やウイルスの除去に役立つ反面、増え過ぎると体が酸化していき、生活習慣病などさまざまな疾患の要因となるおそれがあります。※6

お茶に含まれるカテキンには老化を防いだり、動脈硬化の原因となる血中コレステロール値を減らす効果や、高血圧を抑制する効果があることも確認されています。ほかにも、体内に侵入したウイルスの増殖を阻害する抗ウイルス作用もあるなど、さまざまな作用を発揮して私たちの体を守ってくれます。※3

お茶には紅茶や烏龍茶などさまざまな種類がありますが、カテキンの量が最も多いお茶は煎茶です。


☆カテキンについてはこちらもご覧ください。
カテキンと緑茶の最新事情。30代からの健康を考えた緑茶習慣


朝茶にはメリットがたくさん お茶を飲んで元気に朝活!

朝活

健康効果が期待できるお茶の成分は、テアニンとカテキンだけではありません。お茶を飲むとビタミンB2やナイアシン、葉酸、ビタミンC、カリウムなどの栄養素を摂取できます。※7

ビタミンB2とナイアシンは、糖質や脂質の燃焼をサポートする栄養素です。葉酸は胎児の発育に関わる栄養素として知られていますが、じつは血液に含まれる赤血球の生成にも関わっています。したがって妊婦さんだけでなく、すべての方に摂取してほしい栄養素といえます。

ビタミンCは肌のハリを作るコラーゲンの生成には不可欠です。カリウムは体内の余分な塩分を排出するミネラルなので、高血圧が気になる方は摂取しておきたい成分です。

このように健康によいとされる成分がたくさん含まれるお茶は、心に安らぎをもたらし、抗酸化作用や抗ウイルス作用などの健康効果が期待できます。先人たちに倣い、朝活の一環として朝茶で健康づくりに取り組むのもよさそうですね。


☆お茶にまつわる話はこちらでも紹介しています。
新茶とは?「八十八夜に摘み採られたお茶を飲むと長生きする」って本当?


【参考文献】
※1 静岡茶商工業協同組合
https://www.ocha.or.jp/column/764/
※2 京都府農林水産技術センター農林センター茶業研究所
https://www.pref.kyoto.jp/chaken/teanin.html
※3 公益社団法人日本茶業中央会「茶の健康効果20選」
https://www.nihon-cha.or.jp/pdf/health_benefits20.pdf
※4 一般財団法人食品分析開発センター
http://www.mac.or.jp/mail/151001/03.shtml
※5 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
※6 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
※7 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16036_7
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16037_7


  • いしもとめぐみ

  • ライタープロフィール
    いしもとめぐみ
    管理栄養士。一般企業勤務を経て、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験。現在は、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。日本ワインとおいしいものが大好き。