2023.10.10

お茶の種類は100以上!発酵の有無で決まるお茶の分類とは

お茶は世界各国で飲まれている、生活に根付いた飲み物です。緑茶や紅茶、ウーロン茶など、日本でも種類豊富なお茶が飲まれています。お茶にはどのくらいの種類があるのでしょうか。発酵の有無で分類されるお茶の種類についてご紹介します。

お茶の種類と発酵の有無

お茶はツバキ科カメリア属であるチャノキの葉を原料に作られたものです。お茶は味や香りがさまざまで、色も異なりますが、じつは同じ葉から作られています。緑茶・紅茶・ウーロン茶の違いは発酵の有無です。発酵の具合によって不発酵茶・半発酵茶・発酵茶・後発酵茶の4つの種類に分かれます。※1※2※3

発酵と聞くとパンや味噌、ヨーグルトのように、酵母や乳酸菌といった微生物の働きを思い浮かべるかもしれません。お茶の発酵とは主に茶葉を酸化酵素で酸化させることを指します。
茶葉は酸化酵素で褐色になり、香り成分が増加するなどの変化が起こります。※1※3

発酵しない不発酵茶に分類されるのが緑茶です。まず、収穫された茶葉を蒸して熱を加え、酸化酵素の働きを止めます。その後、蒸して柔らかくなった茶葉の水分を飛ばしながら揉む作業を繰り返し、乾燥させれば出来上がりです。この製法だと酸化酵素が働かないので茶葉には緑色が残り、お茶も新緑のように爽やかな香りを持った独特の風味になります。※1※2※3

発酵させて作るお茶はその度合によって分けられます。紅茶は茶葉を完全に酸化させる発酵茶、ウーロン茶は途中で酸化を止める半発酵茶です。

紅茶用の茶葉を作る際は、まず収穫した茶葉を広げ、15〜20時間ほどおいてしおれさせます。その後に揉み、ふるいにかけて大きさを揃えたら、決まった温湿度に設定した部屋で酸化させます。それを乾燥させたら完成です。ちなみに紅茶は酸化と乾燥によって香り成分が増加します。※1

ウーロン茶の場合は、収穫した茶葉を太陽の光に当てながら30〜40分ほどおいてしおれさせ、室内に移します。それを攪拌(かくはん)して酸化を進め、途中で熱を加えて酸化を止めます。
その後、茶葉を揉んだり布で包んで締めたりする工程を経て、乾燥させたら完成です。※2

また、後発酵茶は酸化させる発酵茶や半発酵茶と違い、カビや乳酸菌などの微生物によって発酵させて作るお茶のことです。中国のプーアル茶、高知で作られている碁石茶、徳島県の阿波番茶(阿波晩茶)などがあります。製造工程や使われる微生物はお茶によって異なり、味わいや風味にも違いが生まれます。

例として、阿波番茶の作り方をご紹介します。※1

阿波番茶は、収穫した茶葉の酸化を止めるためにまず茹で、その後よく揉みます。そして、大きな桶に茶葉を入れて重石を乗せ、2〜4週間漬け込んで乳酸発酵を促します。発酵が進んだら天日干しして完成です。

以上のように、茶葉は発酵の有無によって分類され、さまざまな味わいのお茶になります。※1

☆お茶の発酵についてはこちらでも詳しく紹介しています。
熟成と発酵の違い お茶は発酵食品?ポリフェノールとお茶の関係とは

発酵の有無以外で分類されるお茶の種類

お茶_種類

お茶は発酵の有無だけでなく、産地・製造方法・収穫時期・形状・茶葉の大きさ・品種などでも分類されます。例えば、緑茶という名称からは玉露や煎茶、番茶など、さまざまな種類のお茶が思い浮かぶのではないでしょうか。お茶を詳細に分類していくと、数えきれないほどの種類になると考えられます。

それでは数あるお茶の中から種類の一部を見ていきましょう。
緑茶は製造方法によってさらに分類されます。新茶の時期である5月に摘み取られた一番茶を用いたのが「煎茶」です。高級品として知られる「玉露」も一番茶を使った緑茶で、収穫予定日の3週間ほど前からむしろなどを覆いかぶせ、日光を遮って育てた新芽で作られます。

一番茶が摘まれた後の二番茶を使用したのが「番茶」で、番茶を香ばしく加熱したものが「ほうじ茶」です。一番茶を蒸した後、揉まずに乾燥させた「碾茶(てんちゃ)」を粉末状にすると「抹茶」になります。※1※3

紅茶は産地によって分類されます。「ダージリン」や「アッサム」はインドの地名で、「ウバ」はスリランカの地名です。ほかにも茶葉の大きさや形で分けるリーフグレードが付けられています。これは品質の評価ではなく、大きさと形による分類です。※1

ウーロン茶の産地は中国と台湾に大きく分けられます。産地によって様々な銘柄のウーロン茶が作られており、台湾の代表的な銘柄には「東方美人」や「凍頂烏龍」などがあり、中国では「水仙」や「鉄観音」などが代表的な銘柄として知られています。
このように、お茶は発酵の有無以外でも分類されます。※1

茶葉を使わないお茶の種類

お茶_種類

麦茶、ルイボスティー、ハーブティーなどはお茶に入らないのかと思う方もいるかもしれません。これらはチャノキ以外の茶として「茶外(ちゃがい)の茶」や「茶外茶」と呼ばれます。
チャノキから作られたお茶と同様に、茶外の茶も世界各国でさまざまな種類が飲まれています。※4

日本で親しまれている代表的な茶外の茶といえば麦茶ではないでしょうか。麦茶は殻が付いたままの大麦を炒ったものです。昭和初期までは各家庭で大麦を炒った自家製の麦茶が飲まれ、冷蔵庫の普及とともにティーバッグの麦茶が広がり、手軽に飲めるお茶として定着したようです。※4

以上のように、発酵の有無で銘柄が変わるチャノキのお茶は、詳細に分類すると数多くの種類に分けられます。世界の各地ではさまざまなお茶が飲まれています。お茶と茶外の茶は分類こそ違いますが、どちらも日常生活に根付いています。


☆お茶の起源や健康効果についてはこちらで紹介しています。
紫式部もお茶菓子を食べた?平安時代にも飲まれていた「お茶の起源」とは?
カテキンと緑茶の最新事情。30代からの健康を考えた緑茶習慣
千利休とマインドフルネスから学ぶ!お茶の間で自律神経を整える方法とは


【参考文献】
※1 お茶の科学 大森正司
※2 味わいも香りもさまざまなお茶の種類
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2204/spe1_03.html
※3 日本茶百味百題 渕ノ上弘子
※4 茶外の茶
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2204/spe1_03.html
※5 ルイボスティーの抗酸化性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1995/46/12/46_12_779/_article/-char/ja/


  • はせがわじゅん

  • ライタープロフィール
    はせがわ じゅん(管理栄養士)
    WEBメディアで食や栄養に関わる記事の執筆のほか、レシピ開発、栄養計算を行うとともに、年間約300名以上の特定保健指導に携わっています。