2024.02.05

せんべいとおかき、あられの違い。うるち米って知っていますか?

せんべい・おかき・あられは、米を材料に使った米菓と呼ばれるお菓子です。これらの主な材料は「うるち米」と「もち米」です。うるち米とは、どのような米なのでしょうか。うるち米の特徴を知ると、せんべい・おかき・あられの違いもわかってきます。

普段、何気なく食べている身近なうるち米

日本の米には、コシヒカリやあきたこまち、ひとめぼれなどのさまざまな品種があり、それぞれに食感や味わいが異なります。一般的によく知られているこれらの米はいずれも「うるち米」の品種です。日本で主食として食べられている米は、うるち米なのです。

一方、餅やおこわに使われる米は「もち米」です。もち米にはうるち米よりも粘りが強いという特徴があります。餅やおこわのもちもちとした食感はうるち米にはありません。その理由に米の主成分であるデンプンが大きく関わっています。

そもそもデンプンはブドウ糖がつながってできたもので、アミロースとアミロペクチンという2つの成分から構成されています。アミロースはブドウ糖が直線的に1,000個ほどつながったもので、アミロペクチンは枝分かれしながら10,000個ほどつながったものです。

この2つの性質は異なり、アミロースの含量が多いほどさっぱりした米になり、アミロペクチンの含量が多いほど粘りが強くなります。

もち米は、ほぼ100%がアミロペクチンです。一方、うるち米は約20%のアミロースと約80%のアミロペクチンで構成されています。米の粘り強さの違いは、このアミロースとアミロペクチンの割合によって変わってくるのです。※1※2

せんべい・おかき・あられの原料に使われている米は?

せんべい

うるち米やもち米は主食として食べられているだけでなく、お菓子の材料にもなります。米を使ったお菓子には、米菓やだんご、おはぎなどがあり、うるち米やもち米の特徴を活かして使いわけられています。

例えば、うるち米を粉にした上新粉を使ったお菓子には、だんごや草餅、柏餅などがあり、もちっとしながらも歯切れの良い食感があります。

また、もち米を粉にした白玉粉やもち粉を使ったお菓子には、白玉団子や大福の求肥などがあり、食感に粘りがあって手などでちぎろうとすると伸びる特徴があります。
では、米菓であるせんべい・おかき・あられの原料には、どちらの米が使われているのでしょうか。

せんべいは、粘りが控えめな「うるち米」で作られています。このため、せんべいは膨らみが少なく、平べったい形になります。一方、おかきとあられは「もち米」を主材料に作られ、大きいものがおかき、小さいものがあられと呼ばれています。もち米を使うおかきとあられは、焼いた餅がぷくっと膨らむのと同様に、焼き上げると大きく膨らむことが特徴です。※3

ここでせんべい、おかき・あられを製造工程の違いからも比較してみましょう。
せんべいは、うるち米を粉にしたら熱湯を注いで練り上げます。それを棒状にちぎって蒸かしたあと、ついて薄く伸ばし、せんべいの形に型抜きをして乾燥させます。乾燥したものを焼き上げて味付けをしたら完成です。※3

おかき・あられは、もち米を蒸したあと、ついて餅にし、棒状にして冷やし固めます。固まった餅を適度な大きさに切り、乾燥させたあとに焼き上げて味付けをしたら完成です。※3
米菓は、使う米に合わせた製造工程で作られているのですね。

このように、米に含まれているデンプンの性質や製造工程を知ると、せんべい・おかき・あられの違いがよくわかります。

種類はさまざま!せんべい・おかき・あられの魅力

せんべい

せんべい・おかき・あられは、食感が固いものから柔らかいもの、醤油や塩などの幅広い味付けがあり、飽きのこない味わいが魅力です。また、厚焼きせんべいやぬれせんべい、揚げせんべい、柿の種などさまざまな種類があります。※2

厚焼きせんべいは、バリッとした硬い歯触りが特徴で、厚みがあってごつごつとした形をしています。味付けは醤油や塩のほか、素焼きなどがあります。ぬれせんべいは、焼きたての熱いせんべいを醤油に漬けたもので、千葉県銚子市の名物としても知られています。
揚げせんべいは、せんべいの生地を油で揚げたものです。サクッとした軽い食感と、コクのある味わいがあります。柿の種は、細長い楕円形をしたあられで、醤油味に唐辛子をピリッと効かせた味わいが定番。チョコレートでコーティングしたものや、ワサビ味に梅味などさまざまな味があり、思わず手に取ってしまう人も多いかもしれません。
せんべい・あられ・おかきには、ほかにも多くの種類があり、その日の気分で選べることも魅力です。

米菓をおいしく食べられる期間は長い

お菓子には、おいしく食べられる賞味期限が長いものもあります。せんべい・あられ・おかきの米菓もそのひとつです。含まれている水分が少ないため、せんべい・あられ・おかきには腐敗しにくいという特徴があります。

賞味期限は米菓の種類によって異なりますが、一般的に60〜180日程度です。ただし、醤油に漬けるぬれせんべいは、水分を多く含んでいるため、賞味期限は15〜60日程度と短くなります。

せんべい・あられ・おかきは、封を開けてそのまま食べられる手軽さもあります。また、常温で保存できるため、非常食のひとつになるのではないでしょうか。非常時に食べ慣れている米菓があると、ほっとした気持ちになるかもしれません。

種類が豊富な米菓は飽きのこないお菓子です。休憩時間のお供に、せんべい・おかき・あられを味わってみませんか。

☆おせんべいには、米のほかに小麦を原料とした有名なおせんべいもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
草加せんべいと南部せんべい なにが違う?お米と小麦で変わるおせんべいのルーツとは

【参考文献】
※1 精白米のアミロペクチン鎖長分布とその食味特性
https://kuring.hiro.kindai.ac.jp/annai/hokoku/data10/075.pdf
※2 あられ・おせんべいの種類
https://www.arare-osenbei.jp/type/
※3 あられ・おせんべいが出来るまで
https://ww.arare-osenbei.jp/make/

  • はせがわじゅん

  • ライタープロフィール
    はせがわ じゅん(管理栄養士)
    WEBメディアで食や栄養に関わる記事の執筆のほか、レシピ開発、栄養計算を行うとともに、年間約300名以上の特定保健指導に携わっています。