健康への意識の高まりから、テレビや書籍、インターネットなどで健康についてのさまざまな情報を目にすることがあると思います。タンパク質不足が気になっている方は、「必須アミノ酸」や「アミノ酸スコア」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
おせんべいの原料であるお米の必須アミノ酸に注目しました。
健康づくりで改めて注目したいお米の魅力とは
健康的な毎日や理想の体型を目指して運動している方もいると思います。また、体重コントロールのためにお米を控えている方もいるかもしれません。一方で、近年は米粉を使うお菓子やパン、料理が一般的になり、健康づくりのために米粉を食事にとりいれている方も増えつつあります。
お米はエネルギー源となる炭水化物を含むだけでなく、体を作る材料となる「タンパク質」も含まれており、健康づくりに改めて注目したい食品です。茶碗1杯(約150g)でエネルギー234kcal、タンパク質3.8g、脂質0.5g、炭水化物55.7gを摂取できます。※1
お米にも含まれているタンパク質は、わたしたちが生きていく上で大切な栄養素です。筋肉や内臓、骨、肌、毛髪、爪などの体の組織だけでなく、体の働きを調整する酵素、ホルモン、抗体などもタンパク質でできています。※2
「食欲がないから朝は食べない」「仕事が忙しくて昼食を抜いた」など、なんらかの理由で食事量が減ると、体に必要なタンパク質が不足する可能性があります。タンパク質が不足した状況が続くと、健康的な体から遠ざかってしまうかもしれません。
タンパク質を多く含む食品は、肉、魚介類、卵、大豆・大豆製品、乳・乳製品があります。これらの食品を毎食食べるほかに、タンパク質を含む米や小麦などの穀物などを組み合わせた食事にすると、よりタンパク質不足を防ぐことができます。
必須アミノ酸とアミノ酸スコアとは?お米と小麦の比較も!
タンパク質は20種類のアミノ酸から構成されています。アミノ酸の種類や組み合わせの違いによって、数多くのタンパク質が作られ、体の中で大切な役割を担っています。
タンパク質を摂取すると、消化酵素の働きによってアミノ酸に分解されます。小腸で吸収されたアミノ酸は、体のいたる場所でタンパク質に再合成され、さまざまな働きをしているのです。
20種類のアミノ酸のうち、9種類は体の中で合成することができません。そのため、食品から摂取することが必要な9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)」といいます。体の中でタンパク質を作り出すには、必須アミノ酸をバランス良くとりいれることが大切です。
食品に含まれている必須アミノ酸バランスを示した指標が「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアは、9枚の板を組み合わせた木桶に例えられます。高さが低い板が1枚でもあると、水を入れたときに低い板の位置までしか水はたまりません。タンパク質も同様に、一部の必須アミノ酸が少ない場合、タンパク質としての利用が制限されるのです。
アミノ酸スコアが満点である100の食品には、牛肉や豚肉、鶏肉、卵、大豆・大豆製品、牛乳などがあります。精白米のアミノ酸スコアは93です。薄力粉53、強力粉49と、ほかの穀類のアミノ酸スコアと比較すると、小麦粉よりもお米のほうが必須アミノ酸はバランス良く含まれていることがわかります。※1※3
和食はお米のアミノ酸スコアを自然に補える
精白米のアミノ酸スコアは93で、満点の100に届かない理由は「リシン(リジン)」という必須アミノ酸が不足しているからです。アミノ酸スコアが低いといっても、お米の必須アミノ酸を利用できないわけではありません。不足している必須アミノ酸を含むほかの食品を食べることで、より理想的なアミノ酸スコアの食卓が実現できます。※3
例えば、ごはんに合う和食のおかずは、自然にリシンを補うことができます。具体的には、焼き魚や刺身、豚のしょうが焼き、卵焼きのようなアミノ酸スコア100のタンパク質を主に含む食品を使ったおかずです。また、同じくアミノ酸スコア100である大豆製品の冷奴や納豆を添える方法もあります。ほかにもみそ汁を組み合わせることで、アミノ酸スコアを補うことができます。
以上のように、大豆製品などのおかずを組み合わせることで、お米に不足している必須アミノ酸のリシンを補うことができ、タンパク質を効率よく摂取できる食事につながります。※3
豊かな自然の中で育まれた季節の食材を使った和食は、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。和食は、主食・主菜・副菜をそろえることで栄養バランスが整いやすく、動物性の油脂を使う頻度が少ないことも特長のひとつで、海外でも注目されています。※4
お米でエネルギー補給をして健康的に!
日本では古くから主食としてお米が食べられてきました。お米の栽培条件が日本の気候に合い、安定的に収穫しやすいことから広まったと考えられています。お米を中心にしておかずを組み合わせる和食は、日本人の健康を支えているといえるのではないでしょうか。
また、おせんべいや団子など、お米を原料にしたお菓子は、日本で身近なおやつです。小腹が空いたときの間食として、お米を使ったお菓子を食べると、エネルギーやタンパク質を補えます。アミノ酸スコア100である大豆を加えたおせんべいもあり、大豆の入ったおせんべいはアミノ酸スコアの良いおやつとして取り入れるのもおすすめです。
三幸製菓では、お米を使ったおせんべいに“黒大豆”をたっぷり入れた「丸大豆せんべい」を取り扱っています。ぜひ、お試しください。
丸大豆せんべい
https://www.sanko-seika.co.jp/product/brand/丸大豆せんべい/
体を動かしていくには、エネルギー源となる炭水化物が欠かせません。炭水化物を多く含む食品のうち、お米は脂質が少なく、タンパク質も摂取することができます。ダイエット中はお米が避けられがちですが、改めて日本人の主食であるお米を見直してみませんか。
☆こちらもあわせてご覧ください。
・草加せんべいと南部せんべい なにが違う?お米と小麦で変わるおせんべいのルーツとは
・熱中症や夏バテ予防のための水分補給 ポイントは水分と塩分の摂取!
【参考文献】
※1 日本食品標準成分表(八訂)2023年
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
※2 日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
※3 日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)アミノ酸成分表編
https://www.kyoiku-tosho.co.jp/data/correct/teisei_colorchart.pdf
※4 「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されています
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/ich/
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ライタープロフィール
はせがわ じゅん(管理栄養士)
WEBメディアで食や栄養に関わる記事の執筆のほか、レシピ開発、栄養計算を行うとともに、年間約300名以上の特定保健指導に携わっています。
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